「出て行ってください……! この家には、あなた方の欲しがるようなものは何もありません……!」
玄関のドアに手をかけジルが精一杯叫ぶと、中にいた二人の軍服に身を包んだ男が一斉にこちらを振り返った。
エレナが日々きちんと整え清潔に保っている室内は、椅子が転がり引き出しも開け放たれ、見るに耐えられない状態だ。感極まったジルの目に、みるみる涙が溜まっていく。
「お願いだから……、」
「出て行くよ」
ふいに背後から聞こえた声に、ジルは言葉を止めた。振り返れば、見覚えのある鳶色の短髪男がいつの間にか真後ろに立っている。エドガー王子の側近である、眼帯のリックだ。
突然のリックの出現に怯むジルを、リックは冷ややかに見下ろすと薄ら笑いを浮かべた。
「捜し物が、見つかったからな」
リックがその台詞を言い終わるか終わらないかのうちに、ジルは首の後ろにトンッと強い衝撃を受ける。
途端に視界が真っ白になり、ジルは意識を手放した。
玄関のドアに手をかけジルが精一杯叫ぶと、中にいた二人の軍服に身を包んだ男が一斉にこちらを振り返った。
エレナが日々きちんと整え清潔に保っている室内は、椅子が転がり引き出しも開け放たれ、見るに耐えられない状態だ。感極まったジルの目に、みるみる涙が溜まっていく。
「お願いだから……、」
「出て行くよ」
ふいに背後から聞こえた声に、ジルは言葉を止めた。振り返れば、見覚えのある鳶色の短髪男がいつの間にか真後ろに立っている。エドガー王子の側近である、眼帯のリックだ。
突然のリックの出現に怯むジルを、リックは冷ややかに見下ろすと薄ら笑いを浮かべた。
「捜し物が、見つかったからな」
リックがその台詞を言い終わるか終わらないかのうちに、ジルは首の後ろにトンッと強い衝撃を受ける。
途端に視界が真っ白になり、ジルは意識を手放した。