「そ?」


何その余裕の返しは!


「じゃあもう帰る?」


「えっ!?」


想定外の言葉に思わず彪斗の方に向き直る。


「嘘だよ!嫌いじゃないってば」


慌てる私を見てにやっと笑う彪斗。


こいつ…性格悪い……。


「俺に勝とうなんて思うなよ?」


「ムカつく……!」


彪斗の足に蹴りを1発お見舞いする。


「あぶねーよ。事故ったらどうすんだよ」


「知らなーい」


ホントに腹立つよねー。


「心友、こっち向いて」


信号が赤になったとたん、彪斗は甘い声でそう言ってきた。