「おい、どこ行くんだよ」


…ちっ。


バレたか。


保健室の入り口に腕組みして立ってる清水先生。


その姿が視界に入ったとたん、キスシーンがフラッシュバックする。


意識的に忘れようとしてたのに。


これじゃ忘れらんないじゃん……。


「…今日は帰る。もう来ない」


胸が苦しい。


舞彩ちゃんとキスしてたという事実、既婚者だという事実、それらが私の心を締め付ける。


「…そ?別にいいけど」


……っ。


冷たいなぁ…。


ひき止めてくれたっていいじゃん…。


やっぱり私のことなんてどうでもいいんだね…。