私と二ノ宮は何も知らなかった。

付き合ってるという噂が流れているのは知っていたが、結香(ゆか)という同じクラスのモテモテな女の子がいた。

皆、その子にはメロメロだった。

けれど、結香には彼氏がいた。

結香はいろいろな人と付き合い、遊んでいたのだ。

いわゆる、男好きの女である。

二ノ宮も付き合っていた。

しかし、結香には彼氏が居たのにも関わらず、男遊びは収まらなかった。

私が二ノ宮とあの時、付き合っていたらと考えると凄く心が痛んだ。


でも、二ノ宮は部活の時は優しかった。

いつも通り話をしてくれたのだ。

けれど、結香のことが気になり本音ではもう話せなくなっていた。

ある日、歩いて帰っていた時だった。

二宮が反対方向な筈なのに、同じ方向に来たのだ。
「あんた、何でこっちに来てんのよ」

「彼女を送ってく為だよ」

意味がわからなかった。

二宮は私のことが好きなのに、彼女が出来た!?

あぁ、結香のことか。

私は二宮のことを諦めながら家に着いた。