特別、仲が良かった訳じゃない。

只の男友達程度だった。

でも、毎日一緒にいた。

クラスは同じ、部活は別だったけど、毎日部活中も話をよくしていた。

帰りは道が反対だったから、校門まで一緒に帰っていた。

でも、恋してるなんてお互い思ってもいなかった。


出会いは中学一年の時

私の名前は蜜佳(みつか)。

友達の加奈(かな)の席の隣に奴はいた。

ちょっとからかってみたのが始まりだった。

「ちょっと二ノ宮、腕相撲しない?」

二ノ宮こと二ノ宮拓真(にのみやたくま)

二ノ宮は驚いたようにこちらを見ていた。

「女とじゃ勝負になんねぇよ」

「そんなのわからないじゃん。いざ勝負!」

二ノ宮も渋々、腕相撲をしてくれた。


勝負は互角。

いや、二ノ宮が力を加減してくれていたのかも知れない。

すると二ノ宮があっさり腕を倒してくれたのだ。

「やったー!勝った」

私は本気で勝てたと思っていた。

二ノ宮は笑いながら言った。

「良かったな。勝てて」

その時、二ノ宮が手加減してくれたことに気付いたのだ。

「二ノ宮、ありがとう」

「はぁ?別にお前の為じゃねぇし」

二ノ宮は照れ臭そうに笑っていた。

二ノ宮のその気持ちが凄く嬉しかったのは忘れられない。


二ノ宮が風邪を引いて休んだ。

凄くつまらなかった。

好きとかではなく、話し相手がいない。

ただそれだけだった。

周りは二ノ宮のこと好きなんじゃないと騒いでいたが、そんな気さらさらなかった。

次の日には来るだろと思い、さほど心配はしていなかったのだ。

そして、次の日

二ノ宮は普通に登校していた。

良かったと安堵した。

そして、私は二ノ宮にあることを言う決心をしていた。

「二ノ宮!」

「何だよ」

「ちょっと良い?」

私は二ノ宮を呼び出した。

「あのさ、知ってるかもしれないけど、うちら付き合ってるって噂が流れてるのよ。どうする?」

二ノ宮は考えていた。

そして、こう言ったのだ。

「じゃあ、本当に付き合うか?」

私はその言葉に物凄く驚いた。

「なっ!?何言ってるのよ、アンタ。私には好きな人がいるから無理よ」

好きな人はいなかった。

というより、二ノ宮が好きだった。

でも、付き合ったらまた大騒ぎになる。

面倒だ。私は少し天邪鬼な自分を恨んだ。