『優しい口調で、本当はわたしのこと憎んでる…わたし、殺されるかも知れない!』


必死で訴えた。


呆然とわたしを見る父親。


父親は立ち上がり、わたしの頭に手をやると笑って言った。


『怖い夢でも見たのか?中学生になってもまだまだ子供だな。』


『違…』


仕事用の父親のスーツを掴んだ時、微かに感じた甘い香り。


わたしはそのまま言葉を飲み込んだ。


『最近、仕事仕事で帰りが遅かったからな。今日は早く帰って来る。いつも留守番させてすまない。』


そう言い残し家を出て行った父親。