「私はただ、『食事の支度』を整えようとしただけなのに。
……お皿に乗る直前に、横からかっ攫われるなんてね」
「青子さんは人間だ!
お前達が食べていいものじゃない!」
「あははははは!」
喜咲は、けたたましく笑い出した。
「あははっ、あははははは! じゃあさ、君はなに?
ご飯食べないで、生きていけるっていうの?」
「誤魔化すな!
俺は、ちゃんと聞いた事があるんだ……。
本当は、『人狼』は人なんか食べなくても生きていけるって。
別のものだって、食べられる。
だけど、一度でも人を食べたら最後……
頭の中に人肉を求める回路が出来上がっちゃって、人を食べなきゃ落ち着かなくなるんだ。
麻薬みたいに……」