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何が間違っているとか、正しいことはきっとこういう事じゃないんだと、頭では分かっているつもりだった。
誘拐。
人殺し。
遺体の焼却。
何でもやった。
何でもやったけど、銀司がそれで自分を愛してくれる事がないのもわかっていた。
でも、……これでいい。これで正しい。
自分で望んで、自分でやった。
後ろ指指されようが構いやしない。
今の自分の心に従う事が、玉野喜咲の全てだった。
「……そこをどいてよ。私、急いでるの」
喜咲から数メートル離れた場所に、人影が二つあった。
一つは青子。
そしてもう一つは、……孝だった。