「人間と私達の関係なんてそんなものだよ」

玉野は諦めたように笑った。
 
だから、狼の血を持つ銀司に惹かれたのだと話は続いたが、

銀司は冗談を飛ばして、その先を有耶無耶にした。


「俺が『狼』で、あいつが『狐』だからという区切じゃない。

『千年狐』の一族は、傍にいる者の破滅を呼ぶのさ。

……本人が望もうが望むまいが、関係なくね。

だから俺は、あいつを妻には出来ないんだよ」

「そんな……それじゃ、玉野先輩を利用してるだけだっていうの……?」


「あいつは、それでも良いと言ったよ」


「そんなわけないじゃない! どうして分からないのよ!」
 

小夜子は喉の痛みも忘れ、銀司を怒鳴り付けた。

彼の顔が、予期せぬ大声に歪む。