「むうぅ……」
「何照れてんの……。
君、利用されてるだけだよ。
だって、人間を飼ってるつもりなんだろ、あいつ」
「私はエリアルの事が好きだわ。
彼がどう思っていようと、私はエリアルが好き。
だから、それでいいのよ」
「ふん、欺瞞だね。
吸血鬼は昔からそうやってヒトに付け入って、生き長らえてきたんだ。
卑怯のカタマリさ。
ろくに狩りもしないで、相手の顔色ばっか窺ってさ……。
だから弱いんだよ」
「エリアルは弱くなんてない! いつも勝ってきたもの!」
「……へえ、その口ぶりだと、君もどうやら完全にテミスの関係者なわけだ……。
……はい、たった今君を完全に殺す事が決定しました。
その前にたっぷり楽しませて貰うけどねえー……」
小夜子は、銀司の後ろ頭を拳骨ではたいた。