「………」
不意に、セレナの顔が脳裏をかすめた。
吸血鬼の血を吸ってしまったために、吸血鬼の血しか吸えなくなってしまった、異形の同胞……。
「とりあえず、好き嫌い言ってねえで飲めよ……。
一応、小夜っちと血液型一緒だし」
エリアルは、聞くが早いか、封を切るや否やパックを握り潰すような勢いで中身を飲み干した。
人為的に成分を調整された血液は薬みたいな味がして、すこぶるまずかった。
しかしそれでも、みるみるうちに傷が癒えて力が湧いて来るのが分かった。
……リベンジには充分だ。
飲み終えてぐいっと口元を拭ったエリアルを見た乙矢は、
青汁を飲んだ悪役俳優より怖いエリアルの形相に、まだ震えていた。