ふらつきながらも立ち上がったエリアルは、乙矢の手をがっしりと掴んだ。
「痛い痛い、そっち折れてるんだってば!」
「……そこまで言うなら、こっちにも考えがあります。
非常時だからまあ、今は仕方ないという事で」
「え、いやちょっと待って君何を考えているの……」
エリアルは、乙矢の鼻先数センチのところまで顔を近付けて言った。
「お兄さん、血、ください」
「待ってー!」
乙矢は思い切りのけ反り、歩き、少しでもエリアルから離れようとしたが、
結果的にエリアルを引き摺りながら移動するだけになったのでやめた。
エリアルは一息に言った。
「お願いです力を取り戻す為ですひいては小夜子を助けてあのクソ狼をぶちのめす為なんです、ほら……お兄さん」
「嫌だ嫌だ、てかその顔、ひとに頼みごとするような顔じゃない!
『あー畜生こんな奴の血ィ吸わなきゃなんねーのかよ』って顔してる!」
「五分五分です。
ほら、覚悟なさい」