エリアルは息を荒くした。
しかし、深く息を吐いた拍子に酷く喀血したのを乙矢にばっちり見られてしまった。
乙矢は、眉間に皺を寄せた。
「……まさか、燃料切れ?」
「その通りです……ヒュー、ヒュー……」
「血ィ、吸って来なかったの?」
「そんな暇無かったじゃないですか」
「いやいや、重要だろそこは。
喰うもん喰わなきゃ、体なんか動かせっこねーのは百も承知だろうに!」
「じゃあ、出がけに小夜子の首に噛み付いとけば良かったって言うんですか?
もしそんな事したら、多分彼女は道案内はおろか、明日まで目を覚まさなかったと思いますよ」
「な、なら孝から血を貰えば良かったんじゃんか!」
「一度『小夜子』って決めた以上、
何かもう今までみたいに不特定多数を襲って血を吸うのって、浮気してるみたいで嫌なんですよ……」
「わがままだなぁオイ!」