乙矢は狼狽しまくっていた。
「……どうしたんだよエリアル……
お前昔、ドラキュラ伯爵とヨーロッパの支配権を巡って勝ったくらい強かったんじゃないのかよ!」
「ええ、そうですよ……って、どっからそんな話聞いて来たんですか……
でも、結局あれは勝ったというか和解というか……僕はまあ、彼と決闘の後物凄く意気投合して、
しばらく城の地下の棺にちょっと居候してたというか……」
「あれ?
でも考えてみたらドラキュラ伯爵って、
ラストは人間に仇討されてあっさり灰になったんじゃないっけ。
だとしたら、結構弱かったってこと……?」
「違います……吸血鬼ってのは、誰かを吸血鬼にする際、膨大な生命力を失うんですよ……。
伯爵はそこんとこを甘くみてて、調子に乗ってハーレム作った上、
引く手数多な令嬢とか人妻にまで手を出したりしたから、
怒った夫達に弱ってるとこを狙い討ちされて……って、
あー……今は、そんな話してる場合じゃないです!」