真っ暗な暗闇にスクリーンから光る明かりが次々と変わっていく。
やっぱりこんな恋愛ものなんて見るべきじゃない。
男の人と女の人が抱き合うシーンとか、キスするシーンとか見たくない。
隣に佐々木君が居ると余計に見ずらい。
だから思わず視線を下げて――…
「えっ、」
突然あたしの肩を抱きしめてきた佐々木君に思わず小さく声が漏れる。
そのままグッと抱え込むようにしていつの間にか身体が佐々木君に倒れ込んでいた。
「萌?俺と付き合わない?」
「え?」
ぐっと頭を抱えられたままそのままあたしの唇が塞がった。
何度も重ね合わせて来る唇が自棄に暑い。
って言うか、なんであたしは今、佐々木君にキスされてるんだろう。
「ちょ、ちょっと待って、」
グッと力強く押し塞がってる唇を離す。
そんなあたしに佐々木君は頬を緩めた。
「萌。静かにしないとバレるって」
「え、でも急にそんな事、」
「声出さないで」
「ん、」
再び重ね合わした唇。
むりやりこじ開けてくる佐々木君の舌に息が朦朧とする。
エスカレートするかのように佐々木君の手がスカートに入り込む。
ちょっと、待って。
何かが違う。
なんで突然、キスなんて。
こんなのいつもの佐々木君じゃないよね?
「んん、ちょ、」
グッと押すも離れてくれない佐々木君の身体。
声を出したいけど、誰かがこっちを見るんじゃないかって思ってハラハラする。
あれ?佐々木君って、こんなだっけ?