「おはよ、萌」

「佐々木君、おはよう。ごめんね遅くなっちゃった」


あれ以降、晴馬君と会わないまま日曜日がきて、晴馬君にやめといたほうがいいと言われた佐々木君と会っている。


「全然。そんな待ってねぇから」

「ごめんっ、」


やっぱり佐々木君と会うと、気持ちが揺らぐ。

あたしの好きな人は自分で決めたい。

そんな事、当たり前だけど、誰にも邪魔なんてされたくない。


だから晴馬君の言う事なんて聞けない。


「萌、行きたい所、決めてきた?」

「え、あっ、」


忘れてた。

そんな事すっかり忘れてた。

訳分からない事を言ってきた晴馬君の所為で、そんな事なにひとつも考えてない。


「やっぱりな」


クスクス笑う佐々木くんの横顔に思わずドキッと胸が高鳴る。


「ご、ごめん…佐々木君の行きたい所行こう」

「んー…俺?萌とならどこでもいいよ」

「え、あ、うん。じゃ何処にしよっか?」

「繁華街でも歩く?萌の見たいものあったら見ていいよ」

「うん」


佐々木君と繁華街に行った。

特にこれって言う特別な事とかないけど、色んな所を行った。

ご飯も食べて、他愛ない会話をして、ただそれだけなのになんだか嬉しかった。


やっぱりあたしの佐々木君に対しての憧れは変わらない。