「…萌っ、」
不意に聞こえた声にハッと顔を上げる。
駅近くのコンビニ前で待っていた佐々木君が軽く手を上げた。
「佐々木君っ、」
思わず佐々木君を見て笑みを漏らした。
だって相変わらずの好青年って感じだから。
高校に入ってからほとんど会ってなかったけど、相変わらず佐々木君は素敵だった。
制服だってきちんと着こなしてカッコいいし。
…晴馬君とは大違いだよ。
「萌、久しぶり。元気だった?」
「うん。ほんと久しぶりだね。でも、どうして?」
「んー…久々に萌に会いたくなったから。ほら俺らって結構仲良かったじゃん?だから思い出してさ、萌に会いたいって思って」
「ほんとに?」
「あぁ」
「嬉しい。実はね、あたしもずっと佐々木君と会いたかったんだ」
「えー、マジ?だったら連絡くれても良かったのに」
「うん…でもなんか迷惑かなって思ったから」
「迷惑なんて思わねぇし。俺らそんな遠慮する仲じゃねーじゃん?」
「う、うん。そ、そうだよね」
な、なんだろう。
そんな事言われたら、なんだかドキドキした。
佐々木君はあたしにとっての憧れだったから、だから余計にドキドキするんだと思った。
もうほとんど会う事なんてなかったけど、やっぱり会うとあの時みたいな記憶が蘇って、好きの気持ちが膨らむ。