「えっ⁉︎」


思わず声を上げた。


小塚さんも目を見開いて驚いている。


私は正直【1億円】なんて頭にない。ただ痩せたい、その一心で参加しただけだが、篤志は違う。これだけ太った集団の中で、その存在は浮きまくっていた。


どこからどう見ても、太ってはいない。


痩せる必要がないんだ。


それなら目的は1つ。


1億円が欲しいに決まっている。


小塚さんがもう踊れない以上、1分以内に前に出て踊らないといけないというのに__?


「は、早くしないと失格になるわよ⁉︎」


「だから仕方ないと言ってるだろう。外野が騒ぐな」


「そんな__」


軽快なサンバのリズムが流れる中、ここだけは時が止まっているようで。


息を切らして今にも倒れそうな小塚さんと、動く気配がない篤志が睨み合う。


身が引き裂かれるような時間。


先に動いたのは__小塚さんだった。


よろよろと戻っていく。


「ほらな、まだ動けるくせに」


篤志が吐き捨てる。


「ひどい‼︎それでもパートナーなわけ?」


「パートナー?仲良しごっこか?最後に勝ち残るのは1人だ。俺なら、今からでも潰しにかかるがな」


呆れて言葉も出なかった。


そしてすぐに由加里と代わった私は聞こえていなかったんだ。