【ブートキャンプ】
「真帆、私と一緒に組もうよ?」
由加里がそう言って、私の腕を取る。
もちろん私だってそうしたいけど、でも__とすぐに返事ができなかった。
亜紀のことを思い出したからだ。
仲良くなった矢先、どちらか一方が合格し、残りは不合格。気心が知れた相手と競うことはしたくない。
それが由加里ならなおさらだ。
そんな私の思いを見越したのだろう。
「どっちかが落ちることになってもいいじゃない。それはどっちかが受かるってことなんだから」
屈託のない笑顔で、由加里が言った。
本当に裏表のない、気持ちいい性格をしている。
確かに言う通りだ。
それぞれ別のペアと組んだ場合、2人とも落ちる可能性がある。それなら、たとえ競うことになってもペアを組もうというのだろう。そうすれば、必ずどちらかは次に進める。
「うん、わかった」
私は由加里の腕を強く握った。
【2人1組、ペアになって協力して頂きます。最後まで勝ち残った数組が次に進めます】
「やったじゃん‼︎2人とも進めるかも?」
「がんばろ‼︎」
私たちは抱き合った。
由加里と一緒なら百人力だ。