こういう時は、考えちゃいけない。
少しでも考えると、実行に移せないからだ。
くいっと一思いに、途中で挫けそうになったが、鼻を摘んだまま飲み干した。
「おぐっ‼︎」
声にならない声を上げ、口をゆすぐ。
なにも食べていない胃が、突然の珍客に驚いて、悲鳴を上げているのが分かった。
今にも逆流しそうで、でもそうすると、またあの例えようのない味が__。
だから懸命に耐えた。
耐えて込み上げてくる胃液ごと、のみ下す。
ようやく落ち着くと、がしがしと歯を磨く。
それでも、口から臭みが取れることはない。たぶん、なにをしても取れないんだ。尿を飲んだという人間離れした行いがある限り、吐き気は拭えない。
私は、尿を飲んだんだ。
確かに一時期、飲尿ダイエットなるものが流行った気がしたが、そんな汚いことは私にはできないと思っていた。
それなのに、私は飲んでしまった。
気持ち悪さが消えない上に、どんどん意気消沈していく。
そもそも、効果があるのか?
尿を飲んだだけで、一晩で3kgも痩せる?
どうやって?体からなにも外に出さないのに、どうやって痩せるのか?
その答えを、私はすぐ知ることになった。