豪華なフルコースだ。
前菜に始まりスープにムニエル、メインディッシュはステーキだった。さすがにデザートはなかったが、誰もが山登りで疲れていて、あっという間に平らげる。
ダイエットじゃないのか?
そう思った私は、同じくなかなか手をつけない由加里と顔を見合わせていた。
これじゃ、まるで逆効果だ。
「皆さんに食べて頂くのは、当社が独自で開発した新たな食材です。どれだけ食べても低カロリー。栄養も申し分ありません。どうか心ゆくまでご賞味あれ」
おそらく、私たちだけじゃなく、他にも躊躇っていた参加者が居たのだろう。
ダイエット食なのか。
それなら問題ないかもと、お肉を口に入れる。
なかなかの歯ごたえがあり、独特の味がした。
けれど、腹はもう背中につきそうなくらい減っている。えぐれているといってもいい。
その一口に胃袋が刺激され、気づけば完食していた。
これからに備えると思えばいい。
厳しいダイエットが始まるだろう。
果たして、私は乗り越えられるだろうか?
「それでは皆さん、お部屋でお休み下さい」
どうやらこれで解散となるようだ。
本格的なダイエットは明日からなのか__?