「真帆、ごめん待った?」


「ううん、今きたとこ。大事な話ってなに?」


「あ、うん。先に飯いかない?せっかく久しぶりに会ったんだからさ」


「いいよ」


「なに食べたい?真帆の好きなもの、なんでも奢る」


「じゃ、私の行きつけのお店でいい?」


「いいよ。なに系?イタリアン?」


「うーん、がっつりお肉かな。その前に買い物に付き合ってよ」


そう言って、私は雅也の腕を取った。


途端に、かつての恋人の顔がだらしなくなる。


以前に付き合った時、1度でもこんな顔をしたことはあるだろうか?


街中で腕を組むどころか、手を握るのも拒まれた。


それがどうだ。


男はこうも変わるものか?


少し痩せただけで、ここまで変わるのか?


女もそうだ。


私を腹のなかで笑っていた女どもが、苦々しい顔で私を睨めつける。


ブランド品を見境なく購入する、私のことを。


「真帆のとこ、金持ちだっけ?」


「ん?どうして?」


「いや、さっきから買い物、凄いし。羽振り良すぎっていうさ」


荷物役の雅也が、驚いている。


だから私は、あの微笑みを浮かべて言った。


「臨時収入が入ったの」