【高タンパク質、低カロリー】


優勝?


おめでとうございます?


そんな浮かれたセリフが、耳を通り抜けていった。


体が重い。


のし掛かる重みと、覆い被さる重みの違い。


動かない由加里のほうが、とんでもなく重たい。


命は無くなったのに、私の体はどこまでも沈んでいくようだった。


涙が頬を伝って流れていく。


まるで、私から正気が垂れ流されるように__。


いつまでそうしていただろう。


由加里が、硬く冷たくなっていくのが分かった。


自分の体を引き抜くのは、瓦礫の中から自力で這い出るくらい大変だったが、なにも考えずに淡々と作業をこなした。


うつ伏せの死体を仰向けにし、はさみを引っこ抜く。


もう血が固まりだしていて、手間取った。


また由加里が痛い思いをするんじゃないかと思い、涙が溢れる。


もう、苦しみから解放されたというのに。


瞼は閉じている。


後悔はなかったのだろうか?


自分で自分を殺したことに、悔いはないのか?


それはきっと、私を助けるためだ。


だから、こんなにも和やかな顔をしてるんだ。


最後は獣じゃなくて、自分を取り戻したから。


私に「生きて」と言い残して__。


託されたその思いを、ムダにしてはいけないと思う。


私は生きなくちゃいけない。


由加里の分も。


しかし。