寒い。


水の中に浸かっていたからか、体の冷えが取れない。


由加里と抱きしめ合って、温もりを分け合ったが、明らかに前とは違う。


脂肪の鎧をまとっていたが、この戦いの中で贅肉は削ぎ落とされた。


今、何kgかはわからないが、短期間で10kg以上は痩せたはず。


別れを惜しみ、再会を願ってハグをした由加里の抱き心地も全く別人だ。


しかも__引き締まっている。


成長でもしたかのように、伸びとバネを感じた。


だから余計に寒く感じてしまう。


由加里は、静かに眠っていた。


その寝顔は穏やかで柔らかくて、思いやりに溢れていた由加里そのもの。


けれど、すぐに目を覚ますと怯え、震え、なにかと懸命に戦っていた。


その繰り返しだ。


私はその都度、励まし、抱きしめ、由加里に呼びかける。


時間が分からない。


永遠に感じる時間が、たったの1分かもしれない。


ただ1つ分かることは、由加里が自分をとどめておける時間がどんどん少なくなってきたということ。


それはつまり、時間が経過している。


1日か2日か、日が経つにつれて神経がすり減っていく。


なにも起こらない状況が、私を追い詰めていった。


しかしとうとう、戦いが始まったんだ。