【1番、美味しい肉】
「この、裏切り者‼︎」
ハサミでけん制し、篤志と対峙する。
ただ前回優勝者であって、私たちを裏切っていたわけではない。それでも、この合宿がどんな恐ろしいものかと知りながら、ここまで楽に勝ち上がれたんだ。
それは立派な裏切りじゃないか?
「な、なんとか言いなさいよ‼︎」
「真帆ちゃん、無茶するんじゃない!」
小塚さんが、庇うように間に入る。
一瞬でも小塚さんのことを疑った私が馬鹿だった。
やっぱり篤志が__?
「なにが可笑しいのよ⁉︎」
「お前、やっぱり馬鹿だな」
いつもの憎まれ口を叩く。
「よく考えてみろ。もしお前が前回のチャンピオンで、また同じダイエットの大会に挑むなら、どうする?」
「えっ?」
「次も勝つために、お前ならどうするかって聞いてんだよ。ない知恵を振り絞って考えろ」
「な、なによえらそうに‼︎」
腹が立って怒鳴ったが、ふと考えてるみる。
前に優勝したとする。勝つためのノウハウ__この場合は【痩せる】ということだ。ダイエットをしなければ勝ち残ることはできない。
もしそれを知っているのなら、私なら予め__。
ハッと顔を上げた。
篤志と目が合う。
「わかったか?」
「そんな__?」
私の小さな呟きに、小塚さんが振り返った。