前回、優勝者?


「私、聞いたの。指名戦が終わったあと、この中に前回の優勝者が紛れ込んでいるって、誰かが言ってた」


「そんな、でもどうして2人なの?」


「彼女と参加したらしいから」


「彼女と__?」


呟きながらも、私の視線は一方に注がれていた。


沢渡篤志。


だってそうだろう?前回優勝者ということは、壮絶なダイエットをクリアしたということになる。だから痩せているはずだ。それに篤志はいつも、手慣れていた。この戦いを熟知しているかのようで__。


それとも?


「真、帆ちゃん?」


小塚さんが、目を覚ました。


のっそりと大きな体を起こして、辺りを見回している。


いつも1番に私のことを心配してくれた、優しい人。


いつも側に寄り添って励ましてくれた、優しい人。


いつも笑顔を絶やさずに見守ってくれた、優しい人。


まさか、小塚さんが__⁇


「真帆ちゃん、大丈夫?怪我は?」


「__大丈夫」


私は頷いた。


ううん、違う。やっぱり小塚さんじゃない。それなら必然的に__。


「なに睨んでんだよ?キスでもしたいのか?」


篤志が茶化すが、とても笑う気になれなかった。


やがて由加里も目を覚まし、戦いが始まる。