1番初めに目が覚めたのは、私だった。


船酔いしているみたいな吐き気がおさまると、ようやく体を起こす。


いつもの対戦部屋のようだ。


そこに、指名戦を勝ち上がった他の4人もいる。


ただし、全員が倒れたままだが。


ようやく胸のむかつきが消え、座って辺りを見回す頃には状況が掴めてきた。


眠らされたんだ。


あの食事は、私たちの意識を奪うためのもの。


なぜなら私たちは__鎖で繋がれているからだ。


それぞれの手首から伸びた鎖が、壁に埋もれている。


片方の手だけだが、自力で解けそうもない。


私はきっと、水だけ飲んだため、薬の効きが浅かったのだろう。


他の4人は__小塚さんも大きな体を横たえて動かない。


「__由加里」


反対側に倒れている由加里を呼んだが、無反応だ。


とりあえず小塚さんを起こそうと立ち上がった時。


「待って」


声に止められた。


振り返ると、アキと目が合う。


「起こすのはちょっと待って」


「でも__」


「その2人のうち、どっちかは知ってるはず」


「知ってる?なにを?」


アキの視線の先には、小塚さんと篤志。


対照的な男性2人が横並びに倒れている。


一体、なにを知っているというのか__?


「2人のうちどっちかは、前回優勝者よ」