「真帆ちゃん、とりあえず席につこうか?」


小塚さんに背を押されて促されるも、私はテーブルにつくことができない。


取り憑かれたように食事をする3人。


由加里が食べているものは、牛か豚か鳥の肉だと頭では分かっているのに、それがどうしてもそうだとは思えない。


それに加え、あんな酷(むご)い死に様を目の当たりにしたのに、篤志とアキは平然と食事をしている。


信じられなかったが__。


「真帆ちゃん、食べたほうがいい」


「小塚さん、私には無理」


「でも食べないと。ここで少しでも体重を増やしておいたほうが、次の対戦で有利だ」


「次の対戦?」


「そう、次の対戦」


隣の小塚さんと目が合った。


そうか、次は__小塚さんたちと戦うんだ。


きっと次もダイエットが鍵となる。1gでも多く痩せるには、ここで1gでも増やしておくのが得策だ。


それが分かっているから、篤志とアキは食べている。


たとえ喉を通らなくても、無理に胃袋に詰め込んでいるんだ。


1億円のために。


だから私も食べなくてはいけない。


勝ち残りたいなら尚更、食べなくてはいけない。


「私は__無理」


小さく呟いた。


もう、私には無理だ。


これ以上、無理だ。