【前回優勝者】
「真帆ちゃん、真帆ちゃん⁉︎」
「んっ?」
「真帆ちゃん、起きて」
小塚さんの声で、私は目を覚ました。
ひどい夢を見ていた。
せっかく再会した由加里が、人が変わってしまったようになり、恐ろしいことが__?
「ゆ、由加里は?」
身を起こすと、そこは広間だった。
中央に丸いテーブルがあり、そこに見覚えのある顔が?
「由加里‼︎」
跳ね上がるように立ち上がった。
やっぱりあれは夢だ。
あんな、あんな、おぞましい、人じゃないようなこと、優しい由加里がするはずがない。
短い時間だけど、一緒に過ごして分かった。
由加里は誰より思いやりがあって、気遣いができる人だ。それは、私が1番よく分かっている。
私が__。
「由、加里?」
テーブルの手前で、足を止めた。
いや、それ以上、足が進まなかった。
目の前では、ここまで勝ち残った参加者が宴を開いている。
篤志とアキ、そして由加里。
3人が食事をしていた。
数日振りの肉を喰らう、我を忘れた人間。
その中でも由加里は、戦うように喰らっていた。
肉という肉を。
北山竜一を噛み殺した、あの口で。