亜季のことが少しずつ分かる度、心が張り裂けそうになる。
1つ分かるということは、残りの9(ここの)つ発狂するということ。
人ではない叫び声が、永遠に続く。
いつ出れるとも、かといって終わりにもできない絶望的な状況の中、狂っていく亜季の存在は私の心を苛(さいな)むには充分すぎた。
「あぁああああー‼︎」
壁に頭を打ちつける亜季を、食い止める。
けれど、簡単に振り払われてしまった。
何日も絶食しているのにも関わらず、どこにこんな力があるのか?
足枷された足首が腫れ上がり、今にも折れそうなのにそんなことにはお構いなしだ。
再び食い止めようとしたが、胸を突き飛ばされた。
もう、立ち上がる気力もない。
耳を塞いで、亜季の絶叫から身を守る。
このままじゃ、私まで我を失いそうだ。
「静かにして‼︎いい加減にしてよ‼︎」
いや、もう半分、失っている。
朦朧とする意識を手放したいのに、暴れる亜季が私を現実に引き戻すんだ。
いつになったら解放される?
いつまで我慢したら?
そもそも、どうして2人で閉じ込められたのか?
いつ?いついついつ⁇
そもそも、その【いつ】はやって来るのだろうか?
泣き喚く亜季を横目に、私は静かに涙を流した__。