自分の体重を申告する?
それは一体、どうして__?
首を傾げている私に向かって、亜紀が口を開いた。
「私は90kgよ。88kgだったけど、お菓子とお弁当で2kgも太っちゃった」
ばつが悪そうに答える亜紀は、少し顔を赤らめている。
これは本当のことだろう。
お弁当2つぶん、そこそこカロリーがある。
それに亜紀はずっと、お菓子を食べっぱなしだった。
デブはすぐに体重に反映する。
きっと正直に答えてくれたんだ。
そんな必要はないのに__。
「あっ、私は84kg。ごめん、実は最初に訊かれた時、つい少なく言っちゃったの。見栄を張るっていうか、なんとなく本当のこと言いづらくて」
私も正直に返した。
真っ直ぐな気持ちには、ちゃんと答えを返したい。
すると亜紀は考え込んでいるようで__私が言ったことが本当だと、もっと伝えたかった。
けれどその必要もない。
亜紀は、最初から私に優しくしてくれた。
お菓子を配って緊張をほぐし、代わりにお弁当だって食べてくれたじゃないか。
それに、病気でもある。
ただ痩せたい、痩せて綺麗になって振った男を見返したいだけの私とは違い、命に関わる問題だ。
だから今度は、私が亜紀を助ける番。
大丈夫、私は負けるから。