か、壁が迫ってくる⁉︎


私たちを押し潰そうと移動をし始めた。


しかも__?


「速いな」


篤志が、短く呟いた。


「うそっ」


私は四方を見回す。


右から壁が押し寄せてくる。


左からも壁が押し寄せてくる。


「て、て、て、天井が‼︎」


篠田さんが、叫んで蹲った。


小塚さんも、大きな体で膝をつき、降りてくる天井に向かって手を伸ばす。


速い。


速すぎる。


1回目のペナルティーが行使された時は、壁が動いていることに気づかないくらい、ゆっくりだった。


それなのに、瞬く間に壁は目の前に迫っている。


「押し返せ‼︎」


怒鳴った篤志は、壁を背につけ手足を目一杯に伸ばして押しとどめようとしている。


私たちの肩が触れ合う。


ほかに何も挟み込むスペースがないくらい密着し、やがて体を押し合うくらいに狭くなっていく。


「吉野さんが‼︎」


そう言って篠田さんが、眠ったままの吉野さんの体を丸めた。


そうしないと、横たわる吉野さんが押し潰されてしまうからだ。


「な、なんとかしてよ‼︎」


「__無理だ」


「そんなっ」


すげなく篤志に言われ、さらに骨が悲鳴を上げる。


とてもじゃないが、人間の力では敵わない。


も、もうダメだ‼︎