命に関わるんだ。


その一口が、全員を死に至らしめる。


私や小塚さんの努力、そしてなにより吉野さんの思いやりを踏みにじるのは、許されることじゃない。


私は、篠田さんを待ち構えていた。


暗がりで静まり返った食堂。


テーブルの下に身を屈めて、きっとやってくるであろう裏切り者を待つ。


それが篤志ならどんなにいいか。


篤志は、言って見れば裏表がない。性格は悪いが、ウソをついていない分、まだましかもしれない。


泣かせてしまってもいい。


とことんまで、痛めつけてやりたい。


そんな自分の黒い感情に驚くが、ずっとなにも食べていない苛々が、そうさせるのかもしれない。


見つけて懲らしめても、なにも楽しいことはない。


由加里なら、由加里ならこんなことはしないだろう。


無事なのだろうか?


こんなことなら、参加しなければ良かった。


最初の体重当てで、亜紀に負ければ良かった。いや、本当は負けるつもりだったのに__。


もう遥か昔のことのように思える出来事を思い返していた時だった。


来た‼︎


誰かが、足音を忍ばせてやってきた。


私の目の前を通り過ぎ、躊躇うことなく冷蔵庫を開ける。


おもむろに手を伸ばし、熟れた果実を頬張るかのように生肉に__。


「えっ⁉︎」


すぐに口を押さえた。


だって。


だって。