【Bチーム失格】
「もう、ダメっ」
小さく呟いて、篠田さんが大きく倒れこんだ。
すぐに吉野さんが抱え起こそうとするが、吉野さん自身が未だに顔色がないままだ。
箱の中の処刑を目の当たりにした。次は自分たちの番かもしれないから無理もないが、病的な顔色の悪さはその前から。
それなのに、介抱する優しさの持ち主だった。
「一旦、部屋に連れていくわ」
「わ、わたしはまだ、は、は、走らないと」
「そんなんじゃ無理よ。今は私たちを信じて少し休みなさい」
篠田さんが裏切り者だとは知らない吉野さんは、優しく諭す。
肩を貸す形で、2人は出て行った。
日付はもう変わろうとしている。
それでもまだジムには参加者が溢れかえっており、裏を返せば、それだけ危機感を感じているということ。
誰もが1gでも落とそうと懸命になっているんだ。
裏切り者行為なんてあってはならない。
「ちょっとだけ休憩しようかな」
私は、ランニングマシンから下りた。
「そうだね、このまま走ってても体がもたない」
小塚さんも下りたが、トイレに行くと断ってジムを出る。
そのまま私は__食堂に向かった。
真っ直ぐ冷蔵庫に向かい、中から生肉を取り出してかぶりつ__きたいところだが、身を潜めて待ったんだ。
裏切り者がやってくるのを。