「亜紀は、どうして参加したの?」


お弁当が回収されると、車内は少し静かになった。


「私?私は__実は【病気】なの」


「えっ__?」


思わぬ返事に、返す言葉がない。


しかも亜紀は、ポッキーを食べながら軽く言う。


もちろん、周りに配ってからだ。


「心臓が悪いんだよね。だから、痩せないと死ぬって医者に言われてて」


「そんな__」


「だから参加したんだ」


少し寂しげな口調だった。


それなのに私は、自分の弁当を食べてもらったの?


そんなことなら【失格】で良かったのに。


後悔に苛(さいな)まれていたが、それからはお互いの事を話し合ったり、共通の趣味で盛り上がったりと、すっかり親友になった。


これだけでいい。


私は思った。


亜紀という、掛け替えのない友達が出来ただけで、参加した甲斐があったというもの。


痩せなくても、次に不合格になったとしても、得られたものは大きいんだから。


前向きな気持ちになった時、ちょうどバスが止まった。


そして次のアナウンスが、私をどん底に突き落としたんだ__。