【血塗られた体重計】
あれから何度か携帯を繋ぐも、ずっと圏外だった。
私の勘違いならいい。
連絡が取れない私を心配して、どこかで起きたバスの転落事故と結びつけた。
ただの偶然が生んだ、ちょっとした行き違い。
うん、そうだ。
きっとそう。
そうに違い__な、い__?
バスが止まった。
まだ辺りは、鬱蒼と木が生い茂っている。
とても山を下りたとは思えない。
やっぱり登ったんだ、この工場のような建物を目指して。
【少し休憩します。それではバスから降りて下さい】
言われるがまま、私たちはバスから降りる。
なんの建物だろう?
ここだけ近代的で、なにかを作っているのか、煙が空に立ち昇っていた。
なにやら不穏な空気に、言葉数も少なくなる。
「なんだろうね?早く帰りたいんだけど」
前を行く鈴森さんが、振り返って言った。
私もです、と答え後ろをついていく。
この時点でいくつかのグループに分けられており、建物内に入ると、他のグループが見えなくなった。
中はとても明るくて清潔感があり、見たこともない大きな器具やベルトコンベアなど、やはり工場のようだ。
食品工場かな?