「10kgだから、1人2kgずつ。それを5日間だから、1日0.4kgずつ痩せればいいって計算だけど__」
巨大体重計を下りた私たちは、これからのことを話し合った。
「早い者勝ちだからね。そのペースだと多分、次には進めない」
小塚さんが冷静に分析し、私たちの視線を促す。
その先には、残りの4チームがたむろしていた。
この中から勝ち進むのは、たった2チームのみ。人数でいうと、10人だ。その10人の中から1人が、1億円を手にすることができる。
自然と気合も入るというもの。
しかも、そのうちの1チームは体育会系で固められており、円陣を組んで士気を上げている。おそらくすぐにも結果を出すんじゃないだろうか?
つまり、もたもたはしていられない。
「それじゃ、せめて1日1kg?それだったら、2日で合格できるから」
「そうだね。それくらいを目標にしたほうがいいかもしれない」
「分かったわ。1日1kgね」
吉野さんが了承してくれた。
その後ろで、篠田さんも頷いてくれたのだが__。
「お前ら、本当に馬鹿だな」
腕組みをして聞いていた篤志が、チームの輪を乱すことは分かっていたが、あまりに突拍子もない言い分に絶句するしかなかった。