「約束?」
「そう。もし、さっきみたいに無理しなくちゃいけなくなったら、迷わずリタイアして。体を壊しちゃダイエットもできないでしょ?やめて帰ればいいんだよ」
「やめて、帰る?」
「そう。それだけの話だからさ。気負わないで」
そう言うと、大口にローストビーフを放り込んだ。
んふふ、美味しい‼︎とホッペを膨らませる。
私も心ゆくまで、ゆっくりとお肉を味わった。
私たちのテーブルだけ別世界だ。
物悲しくて、少しでも気を許してしまえば、すぐに涙が溢れてくる。
でも、しばらくの辛抱だ。
またすぐに会える。
これからのことを思うと憂鬱だったのに、緩やかな空気をまとった食事の時間が、気持ちを和らげてくれた。
体重測定をする。
私たちは顔を見合わせ、一緒に乗った。
食事前と、ほぼ体重は変わってはいない。
つまり、由加里が【失格】となった。
部屋に戻り、荷物を手に出てくる由加里とは、すぐにお別れとなる。
「真帆、頑張って」
「うん、1億円とるよ」
「じゃ5000万、よろしくね」
「任せといて‼︎」
私たちは抱き合った。
強く強く抱き合った。