「…すごい量。」
「…昔絵が好きな友達がいてさ、そいつのために買い漁ってたらこの量になってた。
…何でか捨てられなくて。」
「そうなんだ…」


棚一面に敷き詰められた漫画。
あの大量の段ボールの中身はこれだったのか。
少年漫画から少女漫画まで、色々な種類が揃っている。
そして湧き上がってくる、この懐かしい気持ち。
今までこんなに漫画で敷き詰められた本棚なんて見たことないはずなのに。


「…あれ、読んでみたいけど、届かない。」


なんとなく目についた漫画を取ろうと手を伸ばしてみる。
背伸びをするも、届かない。
…身長が足りない。


「凛兎ってこんなに小さかったっけ?」


笑いながらわたしの後ろから漫画に手を伸ばすお兄ちゃん。
はい、と言う声に後ろを向く。

ふと、今日の帰りに翔太くんに耳打ちされたことを思い出した。
漫画を受け取って、お兄ちゃんを見上げる。