「…今日、翔太と何話してたの?」
思いがけない質問に少し戸惑う。
…ああ、一緒に帰ってたの見てたのかな。
今日の翔太くんとの帰り道での会話を思い出す。
お兄ちゃんの話してたなんて、言えない…。
「が、学祭の話。デザインネタ切れで、なんかいい漫画あるかなーって…」
「…付き合ってんの?」
「…え?」
お兄ちゃんの言葉に驚くわたし。
しかも、彼の顔と声のトーンはいつになく真面目だ。
…わたしが?…翔太くんと?
…付き合ってる?
「いや、…ないな。」
しまった、思わず本音が出た。
わたしを見て吹き出すお兄ちゃん。
「…すげー顔。翔太、可哀想だな。」
「お兄ちゃんが変なこと言うから。」
「冗談だって。…そうだ、漫画ならそこの本棚にあるから、好きに使っていいよ。」
いや、今のは冗談の顔じゃなかった。
…突然どうしたんだろう。
それとも、本当に冗談だったのかな。
そんなことを考えながら、もう一度お兄ちゃんの部屋に入る。