「ちなみに衣装は半分以上できてまーす!凛兎のデザインのおかげでね。」


恐るべしクラス委員長、安東芽依。
でもこれは、本当に芽依の才能だと思う。
それぞれの得意なことを引き出して、クラスをひとつにまとめる。

…すごいなあ。わたしにはできない。


「…てか、美男美女コンテストの一位って芽依じゃん。」
「えー?なに?なんの話ー?」
「流石にそれくらい知ってるよ。」


はぐらかす芽依の頰をつつくと、可愛らしい笑顔を見せてくる。
わたしの親友はとんでもなく才能のある美人だったようです。
名前を呼ばれて、芽依は他のクラスメイトのところに飛んで行った。
…まあ、わたしも少しは役に立っているようで、よかったけど。




遅い時間まで忙しい芽依を置いて、一足先に帰り道を歩く。
学祭まであともう少しか…。
なんだか、芽依の嬉しそうな顔を見ていると
今年は行ってもいいかな、なんて思えてくる。


「でも絶対に衣装は着たくないんだよなあ…」
「ふーん、可愛いのに。勿体無い。」
「誰が可愛い…うわああっ」


突然の返事に横を向くと、翔太くんが立っていた。
どうやらこの道は翔太くんの帰り道でもあるらしい。
今日も派手なシャツを着ている。


「よっ!帰りでしょ?一緒に帰ろうぜー!」
「びっくりした…誰かと思った…」
「わりいわりい、凛兎ちゃんのこと見つけたら話しかけない訳ないっしょ!」


相変わらず元気な翔太くん。
少しだけこのテンションに慣れつつあるわたし。
二人で肩を並べて歩き出す。