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学祭の準備は着々と進んで行く。
授業数が少なくなるのは嬉しいけど、
放課後になると次は何を頼まれるのかと心が休まらない。
「凛兎ー、みてみてっ」
自分の席でひたすらイラストを描いていると、
芽依が何やら衣装を持ってやって来た。
「月に代わってお仕置きよ!」
「えっ…できるの早くない?」
「凛兎はクラスメイトに興味が無さすぎるんだよなあ…」
可愛い戦士服を机に置いて、
クラスの名簿らしきものを広げる芽依。
「うちのクラスには、裁縫やミシンが使える子が奇跡的に六人います。」
「…ほう。」
「親が調理師免許を持っていて、料理が得意な子が奇跡的に五人います。」
「…ほう?」
「うちの高校の美男美女コンテストの一位から四位までの入賞者は、
奇跡的に全部うちのクラスです。」
「…すごいね。」
「だから!うちのクラスでコミック喫茶やったら、優勝間違いなし!」
…言ってしまえばうちのクラスって奇跡のクラスだったのね。
そんな偶然が重なることってあるんだ。
漫画みたい。