「凛兎のクラス、学祭で何やるの?」


わたしの描いたイラストを手に取って見ながらお兄ちゃんがそう聞いてくる。


「…コミック喫茶だって。」
「コミック喫茶?」
「みんなで漫画のコスプレして…」
「コスプレぇえええ⁈」

「あーもう、うるさくするなら追い出すよ?」


二人の叫び声に再び溜息をつく。


「…なあ凛音、俺絶対行きたい。JKのコスプレ絶対行きたい。」
「お前は少し黙ってろ。」
「いてえっ」


お兄ちゃんが翔太くんの頭を叩いた音が聞こえた。
…あれかな、翔太くんってちょっとお馬鹿さんなのかな。


「なるほど凛兎がイラスト頼まれるわけだ。凛兎って小さい時から絵描いてたしな。」
「へー!そうなんだ!まあ、普通にうめーもんな。」


「…そんなことないけど。」


小さい時から描いていたけど、上手ではないと自分では思っている。
できればもっと上手になりたいんだけど。
もっと本気で練習しておけばよかったなあ…って、


「…え?」


お兄ちゃんが言った何気ない一言を脳内でリピートする。