「結愛……」


陽大が目だけ動かしてあたしを見た。


あたしも陽大を見つめる。


しかし、腕を下ろす気はなかった。


制限時間は20分。


いつの間にか設置されている白い壁掛け時計を確認すると、残り5分もないことがわかった。


もう、ここで決めなければならないのだ。


「結愛、棒を下ろせ」


陽大が静かな声で言う。


あたしは左右に首を振った。


陽大は1ミリも動けないよう、鼻先すれすれまで近づけた。


あたしの後ろで晴道が身構える気配がした。