これじゃまるで、2対1の戦いだ。


口を挟もうとしたが、遅かった。


陽大は自分がやられると思いこみ、棒の先をこちらへ向けて振りかぶって来たのだ。


その瞬間に棒の先端から斧のような大きな刃が飛び出して来た。


「危ない!」


晴道が叫び、あたしの体を押し倒すようにして刃を避けた。


映像と同じノコギリだと思い込んで油断していた。


あんな刃物で一撃を食らえば死んでしまうかもしれない。


「クソ!」


狙いを外した陽大は舌打ちし、再び棒を握り直した。


目を吊り上げ、狙いを定める陽大に血の気が引いていく。


陽大はすでにヤル気になっているのだ。


あたしは知らず知らずの間に棒をキツク握りしめていた。