「鬼なんていない! あんたが殺したんでしょ!?」


立ち上がり、激高する。


しかし、アナウンスの声はそれに反応するようなことはなかった。


床を踏みしめて抗議してみても、反応はない。


『最後の部屋では、1人を殺していただきます』


一瞬、部屋の中が静まり返った。


アナウンスの意味を理解するまでに、誰もが数秒の時間を必要とした。


「殺す……?」


そう呟いたのは晴道だった。


それを合図にしたかのように床の一部に筋が入り、そこが左右に開かれた。


見つめていると、ポッカリと空いた穴からなにかがせり出して来る。


「これが……道具?」


陽大が呟く。


そこに出て来たのはあたしと梨花子が使った、あの刻印の棒だったのだ。