「梨花子は……?」


座り込んでいた晴道が疲れた声色でそう言った。


「え……」


映像が消えた壁の向こうを確認しても、梨花子の姿はどこにもなかった。


体の一部を失ったアユと悠太郎が、こちらに気が付いて戦慄している。


『綾瀬梨花子さんは先ほどの部屋で死んだじゃないですか』


途端にアナウンスが聞こえてきて、高らかな笑い声が響き渡った。


ハッとして天井を見上げる。


相変わらず、どこから声が聞こえてきているのかわからない。


けれど今この光景を見ている人間がどこかにいることは、確実だった。


あたしは天井と通り越してその人物を睨み付けた。


「梨花子を殺したのはあんた?」


『いいえ、赤鬼です』


アナウンスは抑揚のない声で答える。