でも……。


あたしは陽大の事をなにも知らなかったのかもしれない。


一番近くで見ていたつもりだったけれど、陽大の変化に気が付く事ができなかった。


悔しくて、あたしは拳を握りしめた。


どこでどう間違えて、こんなことになってしまったんだろう。


怪我をしてサッカーを休んでいた時だろうか。


あたしが、クラスの他の男子に告白された、あの時だろうか。


「違う……違う、俺じゃない!」


陽大の声はほとんど泣いていた。


それでもその言葉を信用することは、もうできなくなっていたのだった……。