「じゃあ、行きますかお姫様」


腕の中にいた愛心の温もりが消え、変わりに空気を掴んだ。


「………っ」


悔しそうに、顔を歪めてしまう。

「はい、行こうね」


腕の中にいたゆゆちゃんの温もりが、消えて心配そうに見れば、木戸の腕の中に治まるゆゆちゃんがいた。

「………っ」
 
触るなよ、そう思うのに言えなくてただ、早く体育祭が終わればいいのに、と思った。