沙奈とたくさん遊んで気づけば21時になっていた。



「さくら、そろそろ帰ろうか。遅くなっちゃたし。」


「うん。久々に遊べて、楽しかったよ。」



「また、行こうね。


じゃあ、また明日学校で。」



沙奈に手を振ってから、私は施設に帰った。




「ただいま戻りました。」


って言っても、小さい子たちは寝ちゃったか。



「お帰り。さくら。」



「颯太。ただいま。」



私は、帰宅したことを施設長に伝えてから寝る準備を始めた。



そんな時、小さい子の泣き声が聞こえた。



「この声は…。琴音ちゃんだ。」



私は、すぐ小さい子たちの部屋に向かい琴音ちゃんのもとに来た。



琴音ちゃんが夜に泣くのは珍しかった。



「琴ちゃん。どうした?」



琴音ちゃんは私に抱きつきながら、事故にあった夢を見たと話した。



たしか、琴音ちゃんは5歳の時に事故で大好きだった家族を亡くして奇跡的に琴音ちゃんだけが助かってここに来たんだっけ。



「お兄ちゃんがね。お兄ちゃんとお姉ちゃんに会いたいよう。」



そう言いながら、琴音ちゃんは声を押し殺しながら泣いていた。


きっと、琴音ちゃんなりに琴音ちゃんより小さい子もいてみんな寝てるから気を使ったんだろう。



「琴音ちゃん、今日はお姉ちゃんたちと寝ようか。お姉ちゃんたちならみんなまだ起きてるから、いっぱい泣いていいからね。」




「でも、琴音。幼稚園クラスの子たちのお姉さんだから泣いたらダメなんだよ?」



「泣きたいときはたくさん泣いて、気持ちもリセットさせよう。


それに、琴音ちゃんはまだ6歳なんだから。そんなこと考えないで。


お姉ちゃんたちがたくさん話聞くからね。」




「さくちゃん。」



それから、私は琴音ちゃんを部屋に連れて行き話を聞いた。



泣きたいだけ泣いて、琴音ちゃんは私のベッドで眠りについた。




私は、少し冷たいタオルをつくって琴音ちゃんの目元を冷やした。




「さくらは、本当に面倒見がいいよね。」



私は1人部屋じゃなくて同じ歳の愛梨と仁美と同じ部屋になっている。



「ここにいる小さい子達はみんな弟、妹みたいな感じだから。」



「まあそうだよね。私たちが最高学年だからみんなのこと守らないといけないよね。」




「愛梨も、みんなのことちゃんと見てるよね。」




「そりゃね。


そんなことよりも、さくら。



さくらは、どうするの?」





「どうするって?」




「仁美と私に隠し事しようと思っても無理だよ。


お兄さん達が会いたいって言ってるんでしょう?」





「誰かから聞いたの?」




「ごめんね。颯太と施設長が話してるの聞いちゃったの…。」




「そっか…。


今日の琴ちゃん見てて思ったの。


兄に会える機会があるだけ私は幸せなのかなって。


会いたくても会えない。


まだ、5歳の琴音ちゃんがこんなに辛い思いして頑張ってる。


だから、私会ってみようと思う。」




きっと、まだ会うチャンスがある私は幸せなんだ。




明日、また施設長と話そう。



それから、私は瞼を落とし深い眠りについた。